診療内容
主な婦人科疾患についての説明と、当院での診療内容を紹介しています。
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子宮筋腫
子宮の平滑筋から発生する良性腫瘍のことをいいます。現在のところ、発生原因は解明されていませんが、発育には卵巣から分泌されるエストロゲンが関与しています。30%前後の女性に認められるとされており、最も頻度の高い婦人科領域の良性腫瘍です。筋腫ができる位置や大きさによって症状は様々です。
① 粘膜下筋腫
小さくても過多月経や不妊の原因になることがあります。
② 筋層内筋腫
無症状のこともありますが、子宮内膜を圧迫するようになると過多月経になることがあります。
また子宮内膜に近く、ある程度の大きさになると不妊の原因になることもあります。巨大な
ものになると頻尿などの原因にもなります。
③ 獎膜下筋腫
過多月経や不妊の原因にはなりにくいのですが、筋腫が捻じれて腹痛が出現することがあり
ます。増大傾向があれば摘出したほうがいい場合もあります。当院では筋腫の手術の多く
は、腹腔鏡や子宮鏡で行っています。適応につきましてはご相談ください。
子宮内膜症
子宮内膜は、子宮の内腔にあり、生理の時に毎回出血で剥がれ落ちる組織ですが、それと似た組織が子宮内腔以外にできると、子宮内膜症という病気になります。卵巣や子宮筋層や腹膜にできやすいですが、腸や膀胱、肺にできることもあります。超音波やMRIでわからないこともありますが、画像上正常でも子宮内膜症が存在している可能性はあります。鎮痛薬で改善のない生理痛がある方は要注意です。子宮内膜症は月経が来ている間は治らない病気であり、放っておくと痛みの増強、不妊にもつながりますが、ピル等で進行を抑えることができます。治療は、年齢、妊娠を希望しているか、痛みがどの程度か、過多月経があるかなどによって方針は変わってきます。手術は当院では腹腔鏡で行っています。
月経痛がひどい方、子宮内膜症と診断された方は、とにかく放っておかないことが重要です!
骨盤臓器脱
子宮や膀胱、直腸は、骨盤内の筋肉や靭帯に支えられて本来の位置に保たれていますが、それらが膣外に脱出してしまうことがあります。出産や加齢により、その力が衰えてくることが原因であり、それを骨盤臓器脱といいます。脱出する臓器により子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、腟脱と呼ばれます。臓器が膣から外に出てくるようになると、歩行時の違和感や、排尿障害などが出現します。治療は、膣内にリングを挿入し、上に押し上げておく方法や、腟式の手術があります。
子宮頸癌
子宮頸部(子宮の入口)から発生する癌のことをいいます。
性交によるHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)感染が原因で、近年では特に20~30歳代で増加傾向にあります。ウイルスに感染しても多くは免疫力により自然に消失しますが、ハイリスク型のHPVの感染が長期間持続すると、その一部が癌化すると言われています。初期には不正出血などの症状はなく、癌検診を受けないと発見は困難です。1~2年に1回の検診をお勧めします。初期であれば子宮頸部円錐切除や腹腔鏡または腟式の子宮全摘のみで治療は終了しますが、進行癌であれば広汎性子宮全摘出術や抗癌剤治療、放射線治療が必要になります。
子宮体癌
子宮体部(子宮の奥)から発生する癌のことをいいます。 50~60歳頃が好発年齢で、閉経後に多いのですが、不正性器出血などのある方は閉経前であっても要注意です。また肥満や出産経験がないこと、乳癌既往などがリスク因子になります。閉経後の性器出血は特に注意が必要ですので、早めに受診するようにしてください。手術が治療の基本になりますが、進行癌では抗癌剤治療や放射線治療が必要になることもあります。
卵巣癌
卵巣から直接発生する場合と、他臓器からの転移性の場合があります。
好発年齢は40~60歳代ですが、20~30歳頃に発生しやすい組織型の卵巣癌もあります。卵巣の検査は超音波でしますので、子宮癌検診のように細胞を採取して顕微鏡で確認することができません。また、初期には症状が出現しにくいため、子宮頸癌や子宮体癌に比べると、早期発見が困難であり、半年前の診察で異常を認めなかったのに進行癌で発見されるケースも珍しくありません。進行して腫瘍が大きくなったり、腹水がたまることで、お腹が張ってくることで気づくことが多くあります。進行癌で見つかると、手術後に抗癌剤治療が必要になります。
不妊症
不妊の原因は様々ですので、一通り検査する必要があります。また年齢やどこまで治療を希望されているかによって治療内容も異なります。最近は40代の出産も珍しくなくなりましたが、35歳以降妊娠率が低下していくことは事実であり、40歳以降は体外受精でも生児を得ることは非常に難しくなりますので、早めの受診をお勧めします。当院では人工授精までの治療を行っており、体外受精をご希望の方は苫小牧や札幌の病院、クリニックを紹介しています。
更年期障害
更年期にあらわれる多種多様な症状の中で、他に原因があるものを除いて更年期症状と呼び、さらに日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」と呼んでいます。更年期とは閉経をはさんだ前後10年間のことをいい、およそ45~55歳くらいの期間になりますが、実際はかなり個人差があります。更年期障害の主な原因は、卵巣機能の低下によるエストロゲンの欠乏ですが、これに加えて、年齢に伴う心理的な要因、社会環境因子などが複合的に影響して様々な症状があらわれると考えられています。ホットフラッシュ(のぼせ)、発汗などの症状にはホルモン補充療法、精神症状や手足の冷えなどの他の身体症状に対しては、向精神薬や漢方薬が治療の主体となります。