病理・臨床検査室

医師(病理専門医・細胞診専門医、常勤1名)および臨床検査技師(常勤30名)で構成され、日中はもとより、夜間・休日も当直体制や待機体制を実施しており、より適確な診断と治療ができるように努めています。

施設見学について

当院に興味をお持ちの学生を対象に見学をお受けしています。
見学希望の方は下記まで連絡をお願いします。
連絡先:製鉄記念室蘭病院 病理・臨床検査室 技師長 吉野学典
メールアドレス:yoshino-takanori@nshp-muroran.or.jp
電話(代表):0143-44-4650

待遇について

長く安心して働いていただけるよう福利厚生の充実を目指しています。

勤務時間 8時30分~17時15分(休憩60分)
※宿直、待機有
賞与 年2回(業績連動)
休日 年間120日
有給休暇 20日間(初年度より)
休暇制度 福祉休暇、出産・育児休暇、他
社会保険 健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険
福利厚生・その他 労働組合加入、フィットネス優待、旅行・昼食補助制度

有資格者数

認定資格等 人数
細胞検査士 4
超音波検査士(循環器) 6
超音波検査士(血管) 3
超音波検査士(消化器) 1
超音波検査士(体表) 1
血管診療技師(CVT) 4
心血管インターベンション技師(ITE) 1
NST専門療法士 1
認定心電検査技師 3
認定血液検査技師 1
認定病理検査技師 1
第1種衛生管理者 2
衛生工学衛生管理者 1
特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者 1
有機溶剤作業主任者 1
毒物劇物取扱者(一般) 1
乙種第4類危険物取扱者免状 1
診療情報管理士 1

病理・臨床検査室は、大きく4部門(検体検査、検査情報室、生理機能検査、病理検査)で構成されています。

検体検査及び検査情報室部門 生理機能検査部門 病理診断部門

検体検査及び検査情報室部門

技師長以下13名で担当しており、血液、体液および排泄物などの試料を検査し、診断や治療効果判定および予防のための情報を臨床側に提供しています。当部門の特徴は、院内検査項目が約 150項目で、その80%は迅速検査として患者さんの来院中に結果を提供できる体制となっております。検体検査以外にも、採血管の準備を行い、採血間違いや採血量不足による採血のやり直しの予防に努めています。さらにインスリン自己注射や自己血糖測定をされている患者さんへの糖尿病療養指導と自己血糖測定用機器の受け渡しを行っています。
2020年からはPCR検査室を構築し、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症検査も24時間体制で行っています。

一般検査

主に尿検査を担当しますが、便や関節液などの体腔内液の検査も行います。尿一般検査には尿定性(尿たんぱくや糖,潜血など)と尿沈渣(尿中の有形成分検査)に分かれており、尿沈渣ではフローサイトメトリー法を用いて検査を実施しています。他には、インフルエンザやRSウイルス、アデノウィルス、マイコプラズマなどの迅速検査も広く実施しています。


       尿検査機器

血液検査

血液内の血球数(赤血球・白血球・血小板)を計測し、貧血や炎症、血液疾患の有無などを調べます。病気によって血球の割合や細胞が変化するため、血球細胞を特殊な液体で染めて、顕微鏡を使って形態を確認する検査も行います。他に、凝固機能検査を行い、血液がきちんと固まるか、血栓がないかなどを調べます。


       血球計数機              凝固検査機器            鏡検

生化学検査

主に血液中の血清成分を分析し、肝機能や腎機能、コレステロールなどを調べます。それぞれの数値の変動から臓器などに異常がないかを知ることができます。また、糖尿病に関連する検査も行っています。


      生化学検査機器            血糖関連機器              分注器

免疫学的検査

生化学検査と同様に血清成分を分析し、感染症やホルモン、腫瘍マーカーなどを検査します。感染症検査にはB型肝炎やC型肝炎、梅毒等に感染していないかどうかを調べます。ホルモン検査では甲状腺や心臓の機能を調べることができます。腫瘍マーカーといわれる検査では、大腸癌や肺癌など各種の癌によって血液中に現れる成分を検査します。


      免疫検査機器

輸血検査

輸血を行う前の血液型検査や、血液製剤を体に入れて大丈夫なのかを調べる交差適合試験という検査を行っています。輸血に使用する血液製剤には、赤血球液、新鮮凍結血漿、濃厚血小板があります。また、手術の前などに自分の血液を採血して保存する「自己血」の管理も行っています。


    輸血検査機器

微生物検査

患者さんから採取した様々な検体(喀痰・尿・便・血液など)を専用の培地を用いて培養し,その中に感染症などの原因となる細菌がいないか調べます。また、細菌がいた場合には、どのような抗菌薬が細菌に有効なのかも調べています。他に感染対策チーム(ICT)にも加わり、院内感染の管理業務にも参加しています。


    ①検体を塗る前の培地     ②培養して細菌がいた場合の培地

PCR検査

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の検査を実施するために、2020年から検査を開始しました。当検査室では、抗原定性検査とPCR検査を行っています。
PCR検査では現在3機種を用いて24時間体制で検査を行っています。

生理機能検査部門

副技師長以下10名が担当しています。生理機能検査室では、心電図検査や肺機能検査をはじめ、トレッドミル運動負荷試験、ホルター長時間心電図、脳波検査、神経誘発検査、心臓・血管超音波検査、血管機能検査など数多くの検査を行っています。なかでも、循環器系検査に特化し、超音波検査士5名、血管診療技師(CVT)4名が在籍、全国的にも少ないVascular Labを構築しています。Vascular Labでは血管超音波検査による頸部から足先までの動・静脈の評価をはじめ、ABI、トレッドミル、SPPといった様々な検査を駆使し、動脈硬化性疾患や下肢静脈瘤、深部静脈血栓症などの血管疾患の治療に貢献しています。また、心臓カテーテル検査にも従事し、心電図や血圧モニターをはじめ、血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)などの画像検査、プレッシャーワイヤーによるFFRの機器操作を24時間呼び出し体制で実施しています。他には、全新生児を対象とした聴性反応検査(AABR)や女性技師による乳腺超音波検査など、幅広く活躍しています。

心電図検査

心臓は、拍動する時に微弱な電気が流れているのですが、その電気興奮を波形として記録したものが心電図になります。電気は決まった場所から発生し、決まった経路を通り伝導します。よって、心電図を記録することにより、不整脈や伝導障害、心筋梗塞などの虚血性心疾患などがわかります。通常、病院で行われる心電図検査は12誘導心電図といい、両手両足と胸の6か所に電極をつけて記録します。


   心電図検査の様子

ホルター長時間心電図検査

12誘導心電図では短時間での記録になるため、不整脈などの自覚症状があるときの心電図を検査することができません。この検査は、24時間記録することによって、動いているときや寝ているときの心電図も記録することが可能です。検査は胸の4か所に専用の電極を張り付け、接続した機器を携帯してもらいます。狭心症や不整脈の診断などに利用します。

トレッドミル運動負荷検査

心電図と血圧を装着した状態でベルトコンベアの上を歩く検査です。検査は決まった速さと傾斜、歩行時間によって心臓に負荷をかけます。主に狭心症の検査に使用されます。


  トレッドミル運動負荷試験の様子

肺機能検査

マウスピースを咥え、鼻をつまんだ状態で検査をします。呼吸は全て口で行います。最大呼気から目いっぱい吸気した肺活量と、最大吸気した状態から一気に呼出した努力性肺活量を測定し肺機能を調べます。更に機能的残気量(FRC)や肺拡散能(DLCO)といった詳しい検査もあります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの診断に利用されます。また、気管支拡張薬を用いて喘息の検査をすることもあります。


    肺機能検査機器

上腕足関節血圧測定(ABI)

血管が固くなると血圧が高くなります。また、足の血管につまりがあると血液が流れにくくなるため足首の血圧が低下します。この検査は、両方の上腕と足首に血圧測定用のカフを巻き、同時に血圧を測定することによって血管の硬さや詰まり状態を調べることができます。


     ABI検査の様子

皮膚潅流圧(SPP)

皮膚直下数ミリメートルにある微小血管の血液の流れを調べる検査です。足の血流が極めて悪くなる重症虚血肢などで、血管を治療する前後などで検査し治療方針の決定や治癒の程度を評価します。


       SPP検査

新生児聴力検査(AABR)

赤ちゃんが寝た状態で両耳に音を聞かせ、額に張った電極で脳波を調べます。聴力が正常だと脳波が現れますが、異常がある場合は音に反応しないため脳波が現れなくなります。異常がある場合は、できるだけ早くに対処することが大事なので、当院では全新生児に対して生後3~4日ころに検査を行っています。

脳波・神経生理検査

脳波検査は頭に電極を装着し、大脳から発生する微弱な電気を脳波として記録します。けいれんや意識障害などでてんかんが疑われるときや薬物治療の効果判定で検査を行います。神経生理検査は、手や足の神経を皮膚の上から電気的に刺激することにより、神経を伝わる電気的活動の速さを測定します。電気刺激を与えるためどうしても痛みが伴ってしまう検査です。検査には、運動神経伝導速度検査や感覚神経伝導速度などがあります。


        脳波室

超音波検査

生理機能検査室では5台(据え置き型4台、ポーター用1台)の超音波機器を備え、循環器系疾患を対象に年間7000件以上の心臓超音波検査と血管超音波検査を実施しています。心臓超音波検査では、心臓が大きくなっていないか、きちんと動いているか、心臓の中にある弁はきちんと働いているかなどを調べます。血管超音波検査では、首から足先までの動脈・静脈を対象に、動脈硬化の程度や血管が細くなっていたり詰まっていたりする場所がないか、血液が逆流していないか、血栓がないか、などを調べます。


   心臓超音波検査         頸動脈超音波検査

病理診断部門

病理専門医・細胞診専門医1名および臨床検査技師4名からなり、病理診断に必要な標本作製と、それに基づく組織診断や細胞診断、腫瘍の遺伝子検査および診断、また病理解剖を行っています。

組織診断

組織診断は生検材料と手術材料に分類されます。
生検材料は治療方針を決定するために胃や大腸の内視鏡検査や乳腺、皮膚などにできたものを一部採取し標本とし病理専門医が顕微鏡で観察し良性や悪性、炎症や感染症などの診断を行う検査です。
手術材料の組織診断は治療目的に手術によって摘出された臓器を肉眼的に観察しその部位や性状、病変の広がりを確認し、診断に必要な部位を切り取り標本とし病理医が顕微鏡にて観察を行う検査です。術前の診断が正しかったのか、どの程度進行しているのか、手術でとり切れているのか、追加治療が必要かどうか、転移の有無などを検索し、術後の治療方針の決定に寄与しています。また診断の補助や治療選択のための追加の免疫染色や遺伝子検査も積極的に行っています。


     カセットプリンター           包埋作業の様子

術中迅速組織診断

切除範囲や癌の有無や種類を決定するために手術中摘出された検体を-80℃で急速凍結し、20分程の間に迅速に診断を行う検査です。当院では年間120件程が実施されています。


    術中迅速標本作成装置

細胞診断

子宮頚部のがん検診や尿・体腔液、喀痰などの剥離してきた細胞を染色して顕微鏡にて癌細胞や感染症などの有無を調べる検査です。採取された検体は細胞検査士という専門資格を取得した臨床検査技師が観察を行い、癌細胞等の異常細胞があれば細胞診専門医が診断します。
当院では婦人科領域の検査は液状化細胞診法という診断精度の高い方法を導入しており、呼吸器や消化器領域でも検査中に迅速細胞診断を行う検査(ROSE)にも取り組んでいます。


     液状化細胞診法一式        迅速細胞診断(ROSE)の様子

    HPV感染による異形成細胞        迅速細胞診断 腺癌細胞

病理解剖

ご遺族の承諾のもと患者さんのご遺体を解剖させていただくのが病理解剖で、剖検とも呼ばれます。病気で亡くなられた方の原因、治療の効果、あるいは診断や治療が適切だったかどうかについて判断をします。また病理解剖後は臨床医と病理医でカンファレンスを開催し、医学の発展に役立てられています。

医師紹介

■藤田 美悧 (ふじた みり)

病理臨床検査室 参与
北海道大学 昭和50年卒
北海道大学大学院 昭和60年修了
教室:北大分子細胞病理学
専門分野:腫瘍病理学、循環器病理学、移植病理学
認定医・専門医・指導医等:医学博士、細胞診専門医指導医、病理専門医、死体解剖(病理解剖)資格認定、病理専門医研修指導医、臨床検査管理医、ICD