麻酔科 後期臨床研修プログラム

侵襲制御のコンセプトに合致した、優秀な麻酔科医になるためには、侵襲制御領域の幅広い知識・技術の習得が必要です。例えば、将来ペインクリニックを専門とする場合でも、臨床麻酔や集中治療などにおいて、確実なブロックの技術、急変時の全身管理能力などを身に付けておく必要があります。 また、専門医取得まででも、卒後7,8年を要します。3年程度の後期研修では、十分な経験を積むことができません。したがって、当科では、北海道大学病院と関連教育病院とで協力しながら、かつ10年程度の十分な期間をもって、プロの麻酔科医になるべく、過不足のない教育を行うことに努めています。

麻酔科長 伊藤 知哉(指導責任者)

研修目標およびスケジュール

卒後
3~5年目
昨今、麻酔科専門医になるためには、幅広い経験と知識が求められています。そのため、後期研修では、複数の施設で偏りのない色々な経験を積む必要があります。実際、最近の専門医試験では、一施設での研修で偏った知識や技術しか持たない受験者の増加が問題視されています。したがって当科では、さまざまな特長を持った関連病院(北大病院を含む)をローテーションしながら、偏りのない研修に重点を置きます。この間に、麻酔標榜医と麻酔認定医を取得することを目標とします。
卒後
6~9年目
最低2年間は大学で研修を行い、高度な麻酔症例を経験するとともに、最低半年ずつのペインクリニック(緩和医療)研修と、救急・集中治療研修を必須とします。また、希望に応じて基礎研究を始めることも可能です。1,2年目の麻酔研修期間にもよりますが、卒後7,8年目で麻酔専門医を取得することが可能です。麻酔専門医取得後は、ペインクリニック専門医、集中治療専門医の受験資格も比較的取得しやすくなります。したがって当科では、この期間に麻酔専門医取得を目指すことを第一目標とします。
取得可能な専門資格 ◎麻酔標榜医
◎麻酔認定医、専門医、指導医
◎集中治療専門医
◎救急専門医
◎ペインクリニック専門医
◎高気圧酸素治療専門医

専門医取得後

本人の意向ならびに、それまでの業績等を参考にしながら、各自のキャリアアップを応援していきます。具体的には下記(1)~(3)のような方向性を決めていきます。また、専門医取得5年後に取得可能な麻酔指導医の取得も目標とします。

  1. 臨床主体か、研究主体でいくか
  2. 大学(留学を含む)に残るか、関連病院に就職するか
  3. 臨床麻酔のサブスペシャリティー(脳神経麻酔、心臓麻酔、小児麻酔等々)やペインクリニック(緩和医療)、救急、集中治療の集中的な研鑽を行う

女性医師の出産・育児について

女性医師、特に女性麻酔科医が出産・育児等で、そのキャリアを途絶されてしまうことは、日本の医療界にとって大きな損失です。当科では、女性医師の出産・育児休暇、仕事復帰後の勤務体制のサポート体制の整備に努め、認定医や専門医の取得、その後の仕事の継続を応援していきます。