救急部門 初期臨床研修プログラム

“病気を診ずして病人を診よ”

適切な治療にリーダーとして関与し、チーム医療が実践できる医師を目指します。
当院は西胆振地区の人口密集地に位置して、急性期医療を中心に加療し、特に循環器疾患に対して診断から侵襲的治療(内科的、外科的治療を含む)を一貫して行っている唯一の病院です。専門的治療に関してドアから治療室までを30分以内で対応できるように、24時間体制で各部門と協力して救急診療を行っております。
当地域の特殊性もあり、大学病院など3次救急病院ではみられないようなプライマリー・ケアが十分研修できるとともに、心肺蘇生などに対する集学的治療も研修することができます。 救急医療体制は北大の救急治療部との広範囲な提携のもと、院内医師と共同で行っています。主要各科が オンコール体制をとりバックアップも充実しています。
研修医の皆さんは、救急科の主体でもあり、日中診療および当直勤務を上級医の指導の下に行っていただきます。上級医、指導医によるカルテチェックにて、フイードバックや安全面の配慮をしています。その後は上級医の存在のもとで当直医として研修し、1カ月間の救急科配属も必修としております。
 また自己啓発としてBLS、ACLSのセミナー受講を必須とし、院内発生心肺蘇生時のコードブルー要請時には積極的に救命処置に参加していただきます。2年間の研修終了時には、心肺蘇生時にリーダーとして対応できるだけの経験を積み、気道確保・呼吸・循環管理ができるようになることと、発熱、めまい、胸痛、急性腹症、意識障害、外傷などの適切なトリアージ、小児救急を含む初期治療がしっかりできることを目標にしております。

ICU・救急室長 赤坂伸之(指導責任者)

期間
必修として 1年時に麻酔科研修 1ヶ月、研修期間中に救急部門 1ヶ月の研修を行なう。選択として救急部門を選択する場合は研修委員会で調整する。

研修部門
麻酔科研修時は麻酔科研修カリキュラムにのっとり指導医と調整して研修内容を調整する。原則として気管内挿管手技は 40症例以上、脊髄穿刺は 10症例以上は経験目標とする。
救急部門では研修者の受け入れ状況で調整するが救急部門の研修カリキュラムにのっとり研修する。
初期臨床研修期間内にBLS、ACLSの訓練を履修することを必修とする。

一般目標(GIO)
1.生命や機能的予後に係わる、緊急を要する病態や疾病、外傷に対する
   適切な診断・初期治療能力を身につける。
2.救急医療システムを理解する。
3.災害医療の基本を理解する。
4.患者およびその家族の心情に配慮することができる。
5.救急部門スタッフと協調して診療ができる。
6.指導医、専門医に適切に報告、相談、連絡できる。

行動目標(SBOs)
1.救急診療の基本的事項
(1)バイタルサインの把握ができる。
(2)身体所見を迅速かつ的確にとれる。
(3)重症度と緊急度が判断できる。
(4)二次救命処置(ACLS)ができ、一次救命処置(BLS)を指導できる。
※ACLS (Advanced Cardiovascular Life Support)は、バッグ・バルブ・マスク等を使う心肺蘇生法や除細動、気管挿管、薬剤投与等の一定のガイドラインに基づく救命処置を含み、BLS(Basic Life Support)には、気道確保、心臓マッサージ、人工呼吸等の、機器を使用しない処置が含まれる。なお、日本救急医学会の認定するACLS基礎コースを受講することが望ましい。
(5)頻度の高い救急疾患・外傷の初期治療ができる。
(6)専門医への適切なコンサルテーションができる。
(7)大災害時の救急医療体制を理解し、自己の役割を把握できる。

救急診療に必要な検査
(1)必要な検査(検体、画像、心電図)が指示できる。
(2)緊急性の高い異常検査所見を指摘できる。

経験しなければならない手技 ※必修項目:下線の手技を自ら行った経験があること
(1)気道確保を実施できる。
(2)気管挿管を実施できる。
(3)人工呼吸を実施できる。
(4)心臓マッサージを実施できる。
(5)除細動を実施できる。
(6)注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈路確保、中心静脈路確保)を実施できる。
(7)緊急薬剤(心血管作動薬、抗不整脈薬、抗けいれん薬など)が使用できる。
(8)採血法(静脈血、動脈血)を実施できる。
(9)導尿法を実施できる。
(10)穿刺法(腰椎、胸腔、腹腔)を実施できる。
(11)胃管の挿入と管理ができる。
(12)圧迫止血法を実施できる。
(13)局所麻酔法を実施できる。
(14)簡単な切開・排膿を実施できる。
(15)皮膚縫合法を実施できる。
(16)創部消毒とガーゼ交換を実施できる。
(17)軽度の外傷・熱傷の処置を実施できる。
(18)包帯法を実施できる。
(19)ドレーン・チューブ類の管理ができる。
(20)緊急輸血が実施できる。


経験しなければならない症状・病態・疾患
A 頻度の高い症状
※必修項目:下線の症状を経験し、レポートを提出する。「経験」とは、自ら診療し、鑑別診断を行うこと。
(1)発疹
(2)発熱
(3)頭痛
(4)めまい
(5)失神
(6)けいれん発作
(7)視力障害、視野狭窄
(8)鼻出血
(9)胸痛
(10)動悸
(11)呼吸困難
(12)咳・痰
(13)嘔気・嘔吐
(14)吐血・下血
(15)腹痛
(16)便通異常(下痢、便秘)
(17)腰痛
(18)歩行障害
(19)四肢のしびれ
(20)血尿
(21)排尿障害(尿失禁・排尿困難)

B 緊急を要する症状・病態
※必修項目:下線の病態を経験すること。「経験」とは、初期治療に参加すること。
(1)心肺停止
(2)ショック
(3)意識障害
(4)脳血管障害
(5)急性呼吸不全
(6)急性心不全
(7)急性冠症候群
(8)急性腹症
(9)急性消化管出血
(10)急性腎不全
(11)急性感染症
(12)外傷
(13)急性中毒
(14)誤飲、誤嚥
(15)熱傷
(16)流・早産および満期産(当該科研修で経験してもよい)
(17)精神科領域の救急(当該科研修で経験してもよい)
※重症外傷症例の経験が少ない場合、JATEC (Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)の研修コースを受講するのが望ましい。


救急医療システム
(1)救急医療体制を説明できる。
(2)地域のメディカルコントロール体制を把握している。

災害時医療
(1)トリアージの概念を説明できる。
(2)災害時の救急医療体制を理解し、自己の役割を把握している。


 評価方法(Ev)
研修医手帳による自己評価、EPOCによる指導医評価、指導医、看護部、検査部による観察記録を含め複合的に評価する。