消化器内科・血液腫瘍内科

疾患トピックス(食道)
胃食道逆流症(GERD) / 逆流性食道炎
「胸やけ」症状はありませんか?
近年、胃食道逆流症(GERD:ガード)と呼ばれる疾患が急速に増加しています。胃食道逆流症(GERD)とは、 「胃内容物の逆流によって不快な症状あるいは合併症を起こした状態を指す」と定義されています。 (2006年のモントリオールでの国際会議におけるグローバル・ディフィニッションから)たとえば、胃酸が逆流することで、食道粘膜に炎症を起こし、 胸やけ、つかえ感などが出現するもので、脂肪・カロリー摂取の増加やピロリ菌感染の減少などが、近年の増加傾向に関与していると考えられています。 内視鏡所見としては、下部食道に、縦長のびらん・発赤が見られたり、潰瘍や狭窄などをきたすこともあります。また、非びらん性逆流症といい、 内視鏡的に粘膜傷害が認められないのに、逆流関連症状が出現する場合もあり、自覚症状と内視鏡所見とが必ずしも一致しないこともあります。
さらに、最近、この胃食道逆流症は、非常に多岐にわたる合併症を引き起こすことがわかってきました。例えば、咽喉頭異常感などの耳鼻科的疾患だけでなく、 慢性の咳嗽、喘息や反復性肺炎といった呼吸器疾患の一部にも関与している場合があります。
この疾患の原因として肥満などの体型も関連があるとされており、 減量や食生活(高脂肪食、就寝前の食事、アルコールなど)の改善を行うとともに、プロトンポンプ阻害剤という胃酸分泌を抑制する薬剤を内服することで著明な症状の改善が得られます。 胸やけ・つかえ感などの症状、あるいは、難治性の慢性気管支炎や喘息のある方は、当科外来でぜひご相談ください。
※非びらん性胃食道逆流症に対しても一部のPPI(プロトンポンプ阻害剤)の投与が可能となりました。(2006年6月より)

胃食道逆流を増悪させる食品・嗜好品・薬剤など ◎多量の脂肪摂取
◎アルコール
◎コーヒー
◎チョコレート
◎カルシウム拮抗剤
◎亜硫酸製剤
◎抗コリン薬
食道外症候群として、現在までに関連性が確認されているもの ◎逆流関連の咳嗽
◎喉頭炎
◎喘息症候群


▲ 中等症の逆流性食道炎

▲ 重症の逆流性食道炎

バレット食道
「バレット食道(Barrett's esophagus)」と呼ばれる疾患があり、食道腺癌を発症するリスクが高いことで注目されています。 本来、食道の粘膜は皮膚と同様に扁平上皮という細胞でおおわれています。しかし、食道下部の粘膜細胞が、胃酸の逆流による炎症の繰り返えしで変性し、 円柱上皮という胃や腸と同様の細胞に置き換わった状態を「バレット粘膜」といいます。また、この「バレット粘膜」が、本来の食道胃接合部より3cm 以上の長さで全周性に認められるものを「バレット食道」と呼んでいます。
日本でも食生活の欧米化などに伴い、「逆流性食道炎」が増加していることから、 今後、この「バレット食道」および食道腺癌も増えてくることが予測されています。
症状としては、「逆流性食道炎」にみられる胸やけなどですが、 全く無症状の場合も多く、内視鏡検査を実施しなければ、確定診断には至りません。
治療は、酸分泌抑制薬の内服で、胃酸の逆流による食道粘膜の炎症を防ぎ、 経過をみることが多いのですが、「前癌病変」と考えられていることもあり、定期的な検査が必要です。一度、「バレット食道」と診断された後は、 なるべく専門医に半年に一回程度の内視鏡検査を受け経過観察されることをお勧めいたします。


▲ バレット食道