内科的治療

【呼吸器内科長】
田中 康正

 

<初診から検査まで>
検診やかかりつけ医のレントゲン写真で異常を指摘、あるいは何らかの症状のある患者さんに対してまず胸部CTを施行します。その結果、肺がんの可能性が考えられた場合には短期入院の上で気管支鏡検査を行います。気管支鏡検査では画像で見つけた異常の一部を採取し、顕微鏡で詳しくみて診断を試みます。これを病理検査と言います。肺がんの診断が確定したら全身のFDG-PET-CTや頭部造影MRIを施行し病変の広がりを確認します。これらの検査は事情により順番が前後することもあります。以上の結果をもとに呼吸器外科とカンファレンスを行い、まず手術適応の有無を検討します。残念ながら手術適応がないと判断された場合に以下の内科的治療を行います。

<肺癌の内科的治療>
肺癌の内科的治療は主に薬物療法です。肺がんの種類によって薬剤を点滴静脈注射か内服することにより、がん細胞を障害する治療法です。薬剤は一般に全身の血液によって運ばれ、全身の様々な臓器へ達するため、様々な臓器に転移があったとしても効果を期待することができます。

薬物療法には主に以下の3種類に分けられます。

1)キナーゼ阻害剤
がんの増殖に関わるチロシンキナーゼ等を阻害することにより癌の無秩序な増殖を抑制し腫瘍縮小を図る治療法です。小細胞肺癌以外が適応となり、実施にはがん細胞の遺伝子的検索が必要です。キナーゼ阻害薬は比較的軽い副作用でも絶大な効果が得られる可能性があるため、当院では内科的治療の適応となる全ての患者さんを対象にがん細胞の遺伝子的検索をします。

2)免疫チェックポイント阻害剤
リンパ球の表面に存在するPD-1とがん細胞表面に存在するPDL-1いう分子の接着を阻害することにより患者さん自身のリンパ球を活性化してがん細胞を障害する薬剤です。実施の前にがん細胞表面のPDL-1の発現率を調べて効果を予測して行います。キナーゼ阻害剤や免疫チェックポイント阻害剤は、従来のいわゆる抗がん剤と比較して、吐き気や食欲不振、脱毛のような副作用は非常に少ないのです。ただし時に重篤な副作用が起こることがあり、治療に際しては安全性を十分に吟味する必要があります。

3)細胞障害性抗がん剤(いわゆる抗がん剤)
一般に抗がん剤といわれる種類の薬剤です。この治療法は手術や放射線と組み合わせて行われることもあります。また1), 2)が適応とならない場合に選択されます。嘔気や食欲不振などの副作用がイメージされますが、近年は副作用対策が進化しており、中には自覚的な副作用をほとんど感じることなく治療を行える患者さんもいます。

4)免疫チェックポイント阻害剤と抗がん剤の併用
それぞれを単独で使用するよりより高い効果があるため、2018年より保険適応となりました。当院でも全身状態が良好な患者さんには積極的にこの治療法をお勧めしています。

肺がんの薬物療法は現在も著しい早さで進歩しており、内科的治療のみでも長期生存の可能性が十分にあります。当院ではガイドラインに沿いつつ、看護師、薬剤師などと綿密なカンファレンスを行い治療方針の決定をしています。また、治療に際しては主治医との信頼関係が何よりも大切と考えております。不明な点や要望があれば遠慮なく申し出て下さい。

 

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化学療法センター

 

【がん薬物療法認定薬剤師】
斎藤 由起子

 

《 メッセージ 》
安全に抗がん薬治療を受けられるように、治療スケジュールやお薬の投与量をチェックしています。
治療を開始する際には治療スケジュールやお薬の飲み方、副作用とその対処法などについてご説明します。抗がん薬と聞くと副作用が辛いイメージをお持ちと思いますが、症状に応じたお薬を提案し、安心して治療を続けられるようサポートいたします。
些細なことでもお薬のことで気になることがございましたらお声かけ下さい。

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