放射線治療

手術できない肺がん治療に有用 -根治~緩和照射まで-

《はじめに》

2015年3月に高精度放射線治療装置(米国-バリアン社製 Clinac iX)を導入して臨床稼働を開始しました。医師は世界初の動体追跡照射装置の開発や道内初の陽子線治療センターを開設する等、日本でも有数の放射線治療施設である北海道大学病院放射線治療科から、週2日の専門医出張体制で当院の診療が行われています。『北海道の病院2019(道新刊)』 によると、西胆振地域の中で肺がんに対する最新の年間放射線治療数 (新規患者数2017/10/1-2018/9/30) は、当院が最多の51人でした。さらに2019年は年間で70人を超えるペースで患者数が増加しております。

《放射線治療の特徴—体に優しいがん治療》

1、照射中に苦痛を感じることはありません。
2、照射部位にのみ作用する局所療法です。
3、治療時間は通常10-15分程度です。
4、治療期間は数週から1ヵ月半程度要します。
5、副作用がありますが、その大部分は軽度です。

《当院の肺がん放射線治療》

[根治照射]

非小細胞肺がんの場合;Ⅰ,Ⅱ期は基本的に手術が行われますが、高齢や合併症で手術不能な場合や手術拒否の場合は放射線治療が適応となります。Ⅲ期は抗がん剤併用による化学放射線療法の適応で、標準的な治療スケジュール (総線量/分割回数/期間) は60-66 Gy (グレイ:放射線の単位) /30-33回/6-7週です。

限局型小細胞肺がんの場合;Ⅰ期以外は化学放射線療法が行われます。がん細胞の再増殖を抑えるため、集中的に(1日2回)短期間(3週間)で計45 Gy/30回を照射します(加速過分割照射)。
(2018年度実績)根治照射を行った症例は23例で、その内訳は放射線治療単独9例 (高精度照射4例を含む)、化学放射線療法14例 (限局型小細胞肺がんに対する加速過分割照射2例を含む) でした。

[緩和照射]

骨転移・脳転移や気道狭窄を伴う進行症例に対しては、症状緩和を目的に30 Gy/10回/2週程度の緩和照射を行う場合があります。骨転移による疼痛緩和率は約70-80%で、また抗がん剤などの薬剤が届きにくい脳転移に対しては、60-80%で脳神経症状や頭蓋内圧亢進症状が改善します。

[高精度照射] 

比較的小さな肺・脳の腫瘍に対して多方向から高い位置精度を保ちながら大線量照射を行う高精度放射線治療にも対応可能ですが、呼吸性移動が大きい下部肺がんの治療は、動体追跡照射装置を用いる高精度照射が有用なため、北海道大学病院に紹介しています。治療適応については主治医の先生より放射線治療科出張医に御相談いただいて判断しております。

《おわりに》

放射線治療の特徴は『切らずに治す 体に優しいがん治療法』で、治療期間は最長で2ヵ月程度かかる場合もあり、スタッフ一同『体だけでなく、心にも優しい』をスロ-ガンに治療完遂をサポートしております。尚、治療適応などの詳細は主治医に御相談下さい。

 

放射線科のページへ